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記紀・万葉コラム Vol.03菓祖神「田道間守」の気高く、純粋な心に想いを馳せる

橘寺の「田道間守像」。強さと優しさをたたえた表情に胸打たれる。右手に持っているのは橘。
5月3日には田道間守の法要「橘祭」が行われる。

菓祖神「田道間守」の気高く、純粋な心に想いを馳せる

十年かけ、捜し求めた非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)

南東側に浮かぶ小島が田道間守の墓といわれている。(奈良市尼辻西町)

日本神話に登場する伝承上の人物・田道間守(日本書紀での表記。古事記での表記は多遅麻毛理)。ある日、彼は不老長寿の薬を持ち帰って来るようにと、第11代垂仁天皇の勅命を受けます。田道間守はすぐさま日本を発ち、常世国(とこよのくに)をたずね歩きました。そして十年もの長い年月をかけ、秘薬であるとされた木の実「非時香菓」を見つけ持ち帰ります。しかし時すでに遅く、垂仁天皇はお亡くなりになっていました。彼は非時香菓を天皇の御陵に献じますが、悲しみのあまり、泣き叫びながら、とうとう死んでしまいます。そうして垂仁天皇陵の濠に浮かぶ小島は、いつしか人々によって田道間守の墓として語られるようになったのです。

高市郡明日香村橘の橘寺(?0744-54-2026)。境内には田道間守ゆかりの橘が植わる。

非時香菓を蒔くと、やがて芽を出したのは橘(ミカンの原種)でした。以来、"橘"と呼ばれるようになったと伝わる地に「橘寺」はあります。聖徳太子誕生の地といわれ、聖徳太子建立7ヶ寺のひとつです。本堂(太子殿)には藤原時代の作とされる「田道間守像」が祀られています。また、彼は橘だけでなく黒砂糖も持ち帰ったため、後に菓子の祖神として崇められるようになったとのこと。奈良市にある林(りん)神社(漢國神社TEL:0742-22-0612)では4月19日に菓子業界の繁栄を祈願する饅頭まつりが行われますが、ここ林神社では饅頭を日本に伝えた林浄因(りんじょういん)とともに、田道間守も祀られています。一途な彼の美しい心に想いを馳せつつ、ゆかりの地を旅してみてはいかがでしょうか。

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